オベリン年代記最終章
第五章
我はこの狂気の化身と対峙して復讐を叫んだ。彼の物腰は穏やかで我は彼の狼を前にした羊以上のものでは無かった。彼はくすくすと嗤いながら陽気に跳ね周り、彼に理由を問うたものの無駄であった。彼は古の魔術を盗み今やこの世界を盗まんとしている。我には唯一度好機があった。もしや我が瞬時に且つ無慈悲に彼を倒すことが出来たなら、全ては終ったはずなり。我は失敗した。
霊魂が肉体より遊離する時には混乱する感覚があった。色彩は病める黒と白へと褪せて行った。肉体は貴殿の足下に折り重なり貴殿は空虚で怯弱なりと感ずるだろう。巨大な爪が我が胸を切り裂き霊魂をその留め具から切り離さんとする時、我は龍の臭気が我が鼻腔に届く暇も無いことに半ば安堵した。
自らの黒魔術に重々に浸り来た故、我はかつてココと呼ばれたこの愚者と交信することが出来た。我は彼の打ち振る腕にあたかもペツトの如く繋がれり。彼は国王オウスチン崩御の影で宛ら人形師の如く糸を操っていたのだと種を明かした。彼が女王レイエルを傀儡とするのは容易かった。何故なら彼女の魂は取り掛かるに十分なまで堕落していたのだ。辺境より彼の下へと届きし切り札はベインの襲来なり。我は彼等は最早脅威ではないと語りかけたが彼は既に遥かな地点まで歩を進めていた。彼は謡った。「もしもベインが彼等の矛先を我の他へと向けていたなら、我は之国を征服し魔導師評議会の首領として支配することが出来たのに」と。彼は我がプルウグを倒した事に感謝しながらも我がイアンを生き永らえさせた事を呪った。我は我が水鏡を覆い尽くせし昏き潮は真に最暗黒の龍族の羽音以外の何物でも無かったかと思えり。
それから、彼と我、我等は全国土を共に辿った。行く先々で彼は次元の扉を開き不浄の獣を放ち視野に入る物全てを荒廃させた。一つ、また一つ王国の全ての建造物は龍の炎に焼かれて行った。その間中、ココは嗤い下品な冗談を口走った。彼の心は之国が今やかくの如くあるように崩壊していた。
カルスの島が焼かれたる時には我は我がエエテル体がその熱きを感じ得ぬことを喜んだ。我はこの荒廃を声高に嘆かれぬ事が哀れであった。ココが黒龍を蹴飛ばし岩を踏み潰さんと指図せんとする時、我は我の視界の片隅に何物かを捕らえたり。其なるは輝ける巨大な蜘蛛の女王、ロルスの紋章なりて、墓苑の廃墟の黒き姿の辺りに光芒の円柱を成せり。其は頂点に達するや消えて逝き、残るはただ燃ゆる赤衣が酸性の熱き風に吹かれ散るのみ。我は其が嘆きに打ち拉がれし我が心が見せし幻であれと望む他なし。されど他ならば・・・
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○オベリン市街中央の銀行にて対峙するセスと愚者のココ
愚者のココ: 汝は我と魔力の指輪の事を聞いたか?
セス: 汝は我を倒せぬ
セス: 汝はただの愚か者だ
愚者のココ: ただの愚か者だと?有り得ぬ。この老い耄れが(笑)
○愚者のココ、直ちに黒龍の群れを召喚、即死せるセス
愚者のココ: は!之は快楽なり!!
セス: ・・・・・・・
愚者のココ: トウララララ!
○南極のギルドホウルに溢れる黒龍の群れ
愚者のココ: さらば、極地の負け犬共、我は熱を愛す
○ギルドホウル(場所不明)に溢れる黒龍の群れ
○オベリン市街の鍛冶屋を襲う黒龍の群れー
愚者のココ: 鍛冶屋は夜の闇に消えて逝った・・・
○カルスのギルドホウル中庭に溢れる黒龍の群れ
愚者のココ: あばよ!
セス: どうしたリバアスガラアジ!
○スキヤンプ島のギルドホウルに溢れる黒龍の群れ
セス: スキヤンプは陽気な楽しい連中だったのだぞ、汝は心を持たぬ!
愚者のココ: 否!
○都のギルドホウルに溢れる黒龍の群れ
愚者のココ: 見よ!最早マリの負け犬共はいない!
セス: かの勤勉実直なるマリレンジヤアズは何処へ?何時になったら終るのだ
○ラグナロクのギルドホウルに溢れる黒龍の群れ
セス: ラグナロクの予言は成就せり
愚者のココ: これこそがその世界の終末なり。我は気分がいい。
○都の大神殿に溢れる黒龍の群れ
愚者のココ: これらを蘇生せよ!